偶像は信念によって確立され、信念が撤回されれば、偶像は「死ぬ」ことになる。 これが反キリストである。 すなわち、全能の力を凌ぐ力や、無限なるものを超えた場所や、永遠なるものを超越した時間といったものが存在するという、奇妙な考えである。 ここにおいて、そうした力や場所や時間に形態が与えられて、不可能なことが起こった世界を形成するという考えにより、偶像の世界が設定されるに至った。 ここには、不死なるものが死ぬためにやってくる。 すべてを包含するものが損失を被り、時間を超越したものが時間の奴隷とされるためにやってくる。 ここでは、不変なるものが変化し、生きとし生けるものに永遠に与えられている神の平安が混沌に道を譲る。 そして、父と同じように完璧にして罪のない、愛に満ちた神の子が、少しの間憎しみを抱き、苦痛を被り、最後には死んでゆくためにやってくる。
奇跡講座テキスト 第29章 八 反キリスト 6.