原因がないものを見ないことで、何が失われたというのだろう。 神の記憶が戻ってきて、損失に取って代わったときに、どこに犠牲が存在するだろう。 幻想と実相の間にある小さな隔たりを閉じる方法として、神についての記憶にそこを超えて流れ込ませ、一瞬にして向こう岸に渡れる橋とならしめる以上に、よい方法があるだろうか。 神はご自身でその隔たりを閉じたからである。 神の記憶は、行き場をなくした子の前を通り過ぎたことはなく、彼が絶対に辿り着けない向こう岸を垣間見ることしかできないような岸辺に、彼を永遠に置き去りにすることはなかった。 父は、わが子が引き上げられて優しく向こう岸へと運ばれることを意志している。 神がその橋を築いたのであり、その橋を渡って子を運んでゆくのも神である。 神がご自身の意志することに失敗しないかと案じることはない。 また、あなたのための神の意志からあなたが除外されるかもしれないと、案じることもない。
奇跡講座テキスト 第28章 一 現在の記憶 15.