その歌の調べ自体は無である。 それでもあなたが、それを自分の中に抱き続けたのは、その調べそのもののゆえにではなく、それが、思い出せば涙せずにはいられないほど愛おしく大切なものの記憶を、そっと呼び覚ますものだからである。 あなたは思い出せる。 だが思い出せば、これまで自分が学んだこの世界を失うことになると信じて、恐れているのである。 それでもあなたは、これに比べれば、自分で学んだ世界の中にあるどんなものも、その半分も大切ではないと知っている。 耳を澄ましなさい。 そして、はるか昔にあなたが知っていた往古の歌を、覚えているかどうか確かめなさい。 その歌は、大切にするようにとこれまで自分に教えてきたどんな旋律よりもずっと大切にされてきた歌である。
奇跡講座テキスト 第21章 一 忘れられた歌 7.