いかにも頑丈そうなこの防壁、岩盤のように見えるこの模造の床は、あたかも、太陽の前で頑固な壁を装って低くたれ込める暗雲のごときものである。 貫通不可能に見えるその外観はすべて幻想である。 その雲は、高くそびえる山の頂からは柔らかに退き、山頂に登って太陽を見ようとする者を引き戻すような力はもたない。 落ちてくるボタンを受け止めたり、一片の羽毛を支えたりすることさえできない。 それは土台という幻想でしかないので、何もその上にのせることはできない。 触れようとすれば消滅し、握ろうとすれば空を掴むだけのものである。
奇跡講座テキスト 第18章 九 二つの世界 6.