特別な愛の関係は自我が最も自慢とする贈り物であり、自ら進んで罪悪感を放棄するつもりのない者たちにとってきわめて魅力あるものである。 自我の「力動論」はここにおいて最も明確である。 なぜなら、こうした関係を主軸とした空想はこの贈り物の魅力を頼みとしているので、多くの場合かなりあからさまだからである。 ここでは通常、そうした空想は容認できる無難なものであり、自然でさえあると判断される。 愛すると同時に憎むということが、奇異なことだとは誰も思わない。 憎むことは罪だと信じている者たちでさえも、ただ罪悪感を感じるだけで、それを正そうとはしない。 これが分離の「自然な」状態であり、それがまったく自然ではないと学ぶ者たちのほうこそ不自然に見える。 なぜなら、天国に対立すべく作り出されたこの世界は、まさに天国の反対であり、ここではすべてのものが真実とは正反対の方向を向いているからである。 愛の意味が知られている天国においては、愛は融合と同じものである。 愛の代わりに愛の幻想が受け入れられているこの世界では、愛であると知覚されているのは、分離や除外である。
奇跡講座テキスト 第16章 五 完成のための選択 3.